特定技能と育成就労制度:2027年の改正技能実習法で何が変わるのか?
2024/10/11
目次
改正の背景と目的
2027年に施行される予定の改正技能実習法の背景には、技能実習制度の問題点が挙げられます。例えば、労働環境の厳しさや技能実習生の失踪、日本人若年労働者の不足などが指摘されてきました。これらの問題を解決するために、新たに育成就労制度が創設されました。この制度は技能実習制度を廃止し、外国人労働者を育成することを目的としています。
育成就労制度は、特定技能制度への移行を見据え、介護、建設、農業などの人材不足が懸念される分野での外国人受け入れを進めるものです。2024年6月14日に参議院本会議で可決・成立し、2027年の施行を目指しています。そのため、技能実習生を受け入れている企業は、新制度に対応するための準備が求められます。
技能実習制度から育成就労制度への流れ
技能実習制度は1993年から運用されてきましたが、これまでの経験と問題点を踏まえ、新しく育成就労制度が提案されました。技能実習制度は最長5年の滞在が認められていましたが、新制度では最長3年となります。また、技能実習制度では特定の国からの受け入れに限定がありましたが、育成就労制度では国籍に制限がなく、より広範な外国人労働者を受け入れられるようになります。
さらに、育成就労制度では、技能実習生が特定技能1号水準の技術を持つ人材へと育成され、転職も可能となります。同じ分野内であれば、原則1年の制限期間を経て2年まで転職が認められるため、外国人労働者の自由度が増します。これにより、労働環境の改善や外国人労働者の安定した就職活動が期待されます。
これまでの実績と課題
技能実習制度は、多くの外国人労働者が日本で技術を習得する機会を提供してきました。特に建設、農業、介護分野では実績があり、労働力不足を補う重要な役割を果たしてきました。しかし、制度には多くの課題も存在します。具体的には、労働環境の厳しさや低賃金、さらには失踪者の発生などが問題となっています。これらの課題を解決するため、改正技能実習法が2027年に施行され、新たに育成就労制度が導入されることとなっています。
技能実習制度の見直しは、多様化する外国人労働者のニーズに対応するために不可欠です。新たに創設される「育成就労制度」は、技能実習制度の諸問題を解決し、より効率的かつ健全な外国人労働者の受け入れを目指しています。
育成就労制度とは
外国人労働者への影響
育成就労制度の導入により、外国人労働者には多くのメリットがあります。まず、技能実習生としてのステータスから、特定技能1号水準の労働者として認められることで就労の安定性が増すことが期待されます。また、同じ分野内での転職が可能となるため、自己のキャリアパスをより柔軟に描くことができるようになります。さらに、日本語学校での日本語学習が促進されることで、より高い日本語運用能力を身につけることが求められるようになります。これにより、日常生活だけでなく職場でのコミュニケーションも円滑になり、労働環境の向上に寄与するでしょう。
一方で、新たな制度がどのように運用されるかによっては、外国人労働者にとって不安や課題が生じる可能性もあります。そのため、制度施行後のモニタリングと適切なサポート体制の整備が求められます。
改正技能実習法の主要変更点
育成就労制度の新設
育成就労制度は、2027年に施行される改正技能実習法により新たに導入される制度です。この制度は、これまでの技能実習制度に代わるものであり、外国人労働者を環境に適応させ、適切な技能を取得させることを目的としています。育成就労制度は、主に介護、建設、農業などの人材不足が深刻な分野での労働力の確保を目指しています。
この制度では、外国人労働者は特定技能1号に相当する技術を持つ人材として育成され、その期間は原則として3年間です。特定技能制度への移行を目指して、初年度の1年間は同じ分野内での転籍を原則禁止し、その後の2年間で転籍が可能となります。また、これまでの技能実習生を受け入れていた企業は、新制度に容易に移行できるようになっており、受け入れ国も広がることで、より多くの外国人労働者を適応させやすい環境が整備されます。
特定技能制度との連携
改正技能実習法では、育成就労制度と特定技能制度の連携が強化されています。特定技能制度は、特定の分野において即戦力となる外国人労働者を対象としており、育成就労制度とは目的や内容が異なりますが、連携が進むことでより効果的に人材を活用できる仕組みが整います。
育成就労制度は、特定技能制度への移行を視野に入れて運用され、技能実習期から特定技能1号へのスムーズな移行が促進される予定です。この連携により、外国人労働者は自身のキャリアプランを明確に描くことができ、企業も必要な人材を適切に確保することが可能になります。2027年の新制度施行に向けて、監理支援機関や受け入れ機関の体制整備も進められる見込みです。
----------------------------------------------------------------------
株式会社Linola
〒812-0023
福岡県福岡市博多区奈良屋町2-16
電話番号 : 092-262-2811
----------------------------------------------------------------------